郷土史とアナログ盤の日々

苫小牧からです。 郷土の歴史に興味があり、あちこち巡っています。 巡った場所や調べたことなど整理したいと思いブログを始めました。 その他、大きな愛情を持って楽しんでいるレコード、アナログ盤についてもちょっと触れたりしています。

苫小牧 アッシュブロック住宅①

昭和28年(1953年)、苫小牧市は開基80周年、市政施行5周年を迎え、第4回観光まつり(港まつりの前身)の記念事業として「寒地向住宅博覧会」を開催した。

f:id:sugi0144:20200410145154j:image(昭和28年8月15日 北海タイムスより)
f:id:sugi0144:20200410145150j:image(ブロック住宅平面図集より)

この時に展示販売用として19棟のブロック住宅が建てられたが、改築、リフォームを経て、現在も2棟が現地に残っている。

f:id:sugi0144:20200410145733j:image(居住中、2018年7月撮影)

なお、2018年7月には現存していたが昨年解体されてしまった一軒は博覧会当時のままの瓦屋根でした。

f:id:sugi0144:20200410152426j:image(2018年7月撮影)

この時期の苫小牧で主に使われていたブロックは「アッシュブロック」といい、王子製紙の火力発電所で使われた石炭殻を活用したコンクリートブロック。

王子製紙の社宅にも積極的に使われた。

アッシュブロックが製造された昭和25年から昭和31年の間に建てられたブロック造りの社宅は全部で310棟。

今でも白金町の線路脇に、廃屋状態でいくつか残っている。

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それまでは木造が主だった王子製紙の社宅の中で、ブロックの社宅はみんなの憧れだったそうです。

かつて工場を中心に東西に広がっていた社宅群も今では人が住んでいるのは工場側の中部のみ。

他の土地はどんどん新興住宅地として分譲され、唯一残っている白金のこの辺りもそのうち開発により取り壊される運命だろう。

工場敷地内に移転してでもいいので1、2棟残せないですかねぇ。

火力発電の熱源が石炭から重油に変わっていき石炭殻が排出されなくなったこと、住宅用の建設資材の多様化などによりアッシュブロック住宅は実質6年間しか作られていませんが、王子の工場を有する苫小牧ならではの住宅、資材であったと、もっと堂々と世間にPRしてもいいと思います。

実は市内には他の地域にもアッシュブロックを使った住宅や塀が残っており、随時調査を進めていますので第2弾をお楽しみに!

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